相続が発生してからも行える節税対策には以下のようなものがあります。
①相続税の配偶者控除を使う
配偶者が財産を相続する場合、『法定相続分』または『1億6,000万円』のいずれか高い金額までは相続税が課税されません。したがって、この制度を最大限使えるよう遺産分割を行うことで、節税が可能になります。ただし、配偶者が相続しすぎると、配偶者が亡くなったときに相続税が高額になる可能性があるため、分割割合については配偶者自身の財産金額を考慮して決める必要があります。
②小規模宅地の特例を使う
亡くなった方の自宅を配偶者や同居していた方が相続した場合、賃貸不動産を相続して賃貸を続ける場合など、一定の条件を満たした場合には不動産の評価額を減額できる制度があります。誰が相続するかによって、特例を使えるケースとそうでないケースがでてきますので、遺産分割前にご相談下さい。
③『地積規模の大きな宅地』として評価を行う
土地の面積が大きい場合、土地を分筆してそれぞれの相続人が取得する、ということがあります。しかし、1,000㎡(三大都市圏は500㎡)を越える場合、分筆せずに相続すると土地の評価額が約70~80%下がります。不動産の分け方にも注意が必要ですね。
④土地を分筆する
③のケースに該当しない場合には、土地を分筆することで評価額を下げる事ができるケースがあります。土地の評価額は間口や奥行、道路に接している数などによって評価額が変わります。相続専門の税理士は土地の評価方法に精通しているため、土地が多い方は相続専門の税理士にご相談下さい。
⑤納税猶予の特例を使う
農地を相続した場合、非上場会社の株式を相続した場合などは、一定の条件を満たせば相続税の納税猶予の特例を使うことができます。この納税猶予の特例は、条件を満たさなくなった場合、納税が必要になることに加え、猶予されていた期間の利息を支払う必要があります。メリット・デメリットを把握した上で、利用するかどうかを検討して下さいね。
⑥控除できる費用は控除する
相続税申告では亡くなった人の債務、例えば借入金、税金(固定資産税、住民税など)、医療費、光熱費等や、葬儀費用を差し引くことができます。ご相談者の中にはこれらの領収書を紛失した、既に破棄した、という方がいらっしゃいますが、相続税を節税することができますので、大切に保管して下さい。