【税務Q&A】相続人にかけてくれていた保険、保険金が出ないため相続税申告は不要?

生命保険

亡くなった父が私にかけてくれていた保険契約があります。
今回の相続で保険金が支払われるわけではないため、相続税の申告に含めなくても良いですか?

被保険者がお父様でない場合、お父様が亡くなった際には保険金の支払がありません。
しかし、相続人は『保険契約』を相続することになるため、お父様が亡くなった時点の解約返戻金の額で申告する必要があります

解説

被保険者(保険がかけられている人)が亡くなった方ではない場合、相続の発生により支払われる保険金がないため、『相続財産ではない』と思っている方が多くいらっしゃいます。

確かに今回の相続では何ももらえないですが、将来保険金をもらうために、保険契約の名義変更手続をしますよね?
つまりは『保険契約』を相続することになり、この保険契約も財産価値のある相続財産になります。

では、この生命保険契約、一体いくらで申告するのか?という事ですが、『解約返戻金(かいやくへんれいきん)の額』です。
ようは、亡くなった時点で解約した場合に戻ってくる金額です。
このような説明をすると多くの方が、
「保険契約は解約してません!」
とおっしゃるのですが、解約しているかどうかは関係ありません。
もし解約したなら』という仮定の話です。
解約返戻金の額は保険会社に問い合わせれば証明書等の発行をしてくれます。

なお、生命保険契約は『死亡保険金』ではないため、非課税枠(500万円×相続人の数)は使えません。
申告の際には注意をして下さい!

申告の対象になる保険契約とは?

さて、それではどのような保険契約を申告に含めるかですが、亡くなった方が保険料を支払っていた保険契約です。
保険料を亡くなった方が支払っていたのであれば、契約者が妻や子供であったとしても相続税申告の対象になります。
保険料相当のお金を贈与してもらい、相続人が保険料の支払をしている場合には保険契約を申告に含める必要はありません。
  亡くなった方の口座から直接支払がなされている保険契約が申告の対象になります。

終身保険、養老保険、個人年金保険など、積立型の保険契約がある場合には、申告の対象になってきますので、相続が発生した際には家族名義の保険を申告に含める必要がないか、しっかり確認を行って下さい。

【参考】国税庁HP 生命保険契約に関する権利の評価