【税務Q&A】亡くなる直前に株を売却した場合、どのように申告すれば良いの?

父が亡くなる直前に株式を売却していたのですが、代金が入ってきたのは亡くなった後でした。
この場合、相続税申告は有価証券として申告すれば良いですか?

亡くなる前に売却取引が成立していた場合には、売買代金請求権として相続税申告を行う必要があります。
この時の評価額は有価証券の評価方法とは異なり、財産評価基本通達204に定める貸付金債権の評価により評価することとなります。

解説

株式の売買を行う上で気をつけたいのが、約定日(取引の成立日)と受渡日(代金の決済日)が異なるということです。
売買が成立してもその日のうちに株式や代金を受け取ることはできず、実際に株式や代金の引渡がなされるのは2営業日後になります。

したがって、相続開始直前に売却手続を行った場合、約定はしているけれど、代金の受渡はなされていないという事があります。
この時、残高証明書には売ったはずの株式が記載されているため、評価はどのようにしたら良いのか?というご相談が時々あります。
(親切な証券会社さんですと、未受渡であることが分かるように証明書を出してくれたりもしますが、多くのケースが、残高証明書に株式として記載されてしまっています。)

この場合、亡くなった方が所有しているのは『株式』ではなく、『売買代金請求権』となります。
従って、残高証明書に株式がのっていても、有価証券として申告をするのではなく、『売買代金請求権』として、亡くなった後に実際に入金された額で申告をして下さい。

なお、亡くなる前に売却手続を行っていたとしても、指値注文をしている場合には約定日が亡くなった後、ということもあります。
その場合、亡くなった時点で所有しているのは『株式』になりますので、取引明細で約定日の確認を行い、どちらで申告をするのかしっかり把握して下さいね。

(参考) 国税庁HP 『相続開始直前に上場株式が売却された場合の相続財産