【税務Q&A】老人ホーム入居後に自宅を売却。『マイホームの売却特例』は使える?
Last Updated on 2021年12月1日
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母が老人ホームに入居してから4年が経ちましたが、自宅に戻ることが難しそうなため、自宅の売却を検討しています。
マイホームを売却した場合の3,000万円控除の特例は適用できますか? -
老人ホームに引っ越して4年が経過しているため、マイホームの売却特例を適用することはできません。
解説
マイホームを売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。
この特例を使える条件の1つに、『自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。』があります。
ご質問のケースですと、老人ホームに引っ越してから4年が経過しており、上記要件を満たしていないため、マイホームの売却特例を適用することはできません。
ところで、令和元年の税制改正により、被相続人の居住用財産を売ったときの特例(空家の譲渡所得の特例)では老人ホームに入居して空家になっていた場合でも、3,000万円控除の対象となっています。したがって、マイホームの売却特例についても、老人ホーム入居でもOKなのでは?とおっしゃる方がいますが、マイホームの譲渡所得の特例については、老人ホーム入居に関する改正が行われていませんので、従前通り、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することが求められているものと思われます。
また、転勤や転地療養などの事情で別の場所で生活をしており、今後また自宅に戻るようなケースであれば、マイホームの売却特例は適用できるため、老人ホームもこれに該当するという方がいらっしゃるかと思います。ショートステイなどの一時的な利用や入院などであればこの特例は適用可能ですが、長期の入居を目的として老人ホームへ居所を移した場合には、たとえ住民票が自宅のままであったとしても、生活の拠点は老人ホームであるとみなされ、マイホームの売却特例は上記要件を満たさない限り適用が難しいと思われます。
※上記は私見ですので、実際の申告に際しては、所轄税務署や最寄りの税理士に相談の上、ご判断下さい。
【参考】国税庁HP マイホームを売ったときの特例
国税庁HP 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例