【税務Q&A】海外在住の子供に相続時精算課税制度は使えるの?

贈与税申告

現在子供が外国に住んでいるのですが、相続時精算課税を使って贈与することはできますか?

相続時精算課税制度の要件を満たしているのであれば、海外に住んでいても相続時精算課税制度を使って贈与することができます。

解説

相続時精算課税制度とは、『60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫への贈与について、累計2,500万円まで贈与しても贈与税がかからない』という制度です。
この相続時精算課税制度を使うことができる条件は以下の通りとなっています。

① 受贈者(財産をもらった方)が贈与者の直系卑属(子や孫)
② 贈与者が贈与した年の1月1日において60歳以上
③ 受贈者が贈与を受けた年の1月1日において20歳以上

適用条件の中に、居住地についての定めはありませんので、海外に居住していたとしても当制度を利用することが可能となります。

なお、海外居住の場合に問題となるのが、どの税務署に申告をするのか、ということです。
通常申告書の提出先は住所地で判断しますが、海外居住となると日本国内に住所がないため、どこに出したら良いのか、と悩んでしまいますよね。日本国内に住所がない場合には、まず納税管理人と納税地を定めるため、『納税管理人届出書』を税務署へ提出して下さい。
この届出書の提出先は以下の順番で判断することになります。

①元々の住所地に親族が引き続き居住している場合:その住所地の所轄税務署
②日本国内で不動産貸付を行っている場合:不動産の所在地の所轄税務署
③上記に該当しない場合:直前の納税地

また、現在申告を行う際にはマイナンバーを記載する必要がありますが、住民票がない場合にはマイナンバーは付与されません。
従って、住民票を抜いて海外に移住された方で、日本国内で申告が必要になった際にはマイナンバーを記載する必要はありません。

(参考)国税庁HP 『受贈者が外国に居住している場合の相続時精算課税の適用
         『受贈者が外国に居住しているとき