【税務Q&A】兄弟仲が悪いのですが、別々に相続税申告を行うことは可能ですか?
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母が亡くなり相続税申告をする必要があります。しかし、相続人である私と姉は仲が悪く、姉が頼んだ税理士に依頼をしたくありません。別々に相続税申告を行うことは可能でしょうか。
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別々に相続税申告を行うことは可能です。
しかしその場合、相続人毎に異なった内容の相続税申告書が提出されることになるため、税務調査の対象となる可能性が高くなります。
税務調査のリスクを避けたい場合には、お姉様と一緒に相続税申告を行って頂くことが望ましいです。
解説
相続税申告は各自で行うことが可能であり、連名で行わなければならないと決められている訳ではありません。
しかし、一般的には連名で申告を行っているケースがほとんどです。
相続税の計算方法について
相続税を計算する際、各相続人が受け取った財産の金額を元に税金を計算すれば良いと思っている方がいらっしゃるのですが、
相続税は亡くなった方が持っている財産の総額を元に計算されます。
従って、まずお母様が持っていた財産・債務がいくらかを正しく把握する必要があります。
そして、この財産金額を元に計算された税額を、各相続人が受け取った財産の割合で負担する、という流れになります。
もし、今回ご相談者様とお姉様がそれぞれ申告を行うとすると、それぞれ資料を収集して申告をすることになるため、どちらかが把握していない財産や債務が出てきてしまう可能性があります。
また、依頼する税理士によって評価額が異なってしまう可能性もあります。
そうすると、税務署としては『どの金額が正しいのか?』とその矛盾を解消するために、税務調査を行う可能性が高くなります。
とにかく別々に申告したいなら申告内容のすりあわせを!
税務調査のリスクを下げるため、また無駄に税理士報酬が発生するのを避けるためには、一緒に申告して頂く事が望ましいです。
しかし、姉が頼んだ税理士が作成した財産目録が本当に正しいのか、姉に有利になるような相続税申告をしているのではないか、という疑いが拭えないようであれば、勿論他の税理士に依頼して頂ければ問題ありません。
その場合には、せめて申告する金額がズレないよう、事前にすりあわせを行うことが大切です。