【税務Q&A】生前に受け取っていた家賃の前受分は債務控除可能?

亡くなる前に家賃が半年分まとめて振込まれているのですが、相続税申告にあたって債務控除は可能でしょうか。

亡くなった日に支払期日が到来していないものについては、債務性があるものとして債務控除が可能です。

解説

家賃などの法定果実については、財産評価基本通達208において、『課税時期において既に収入すべき期限が到来しているもので同時期においてまだ収入していない地代、家賃その他の賃貸料、貸付金の利息等の法定果実の価額は、その収入すべき法定果実の金額によって評価する。』という定めがあります。
この『収入すべき期限』がいつかについては相続税の通達では明確な定めがありませんが、参考になるのが所得税の通達であり、不動産の収入すべき時期は以下の通りとなっています。

(1)契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日支払日が定められていないものについてはその支払を受けた日(請求があったときに支払うべきものとされているものについては、その請求の日)

(2) 賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除く。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受けることとなった既往の期間に対応する賃貸料相当額(賃貸料相当額として供託されていたもののほか、供託されていなかったもの及び遅延利息その他の損害賠償金を含む。)については、その判決、和解等のあった日。ただし、賃貸料の額に関する係争の場合において、賃貸料の弁済のため供託された金額については、(1)に掲げる日

(所得税基本通達36-5)

従って、契約上支払日が定められている場合、支払期日を過ぎて受け取っていない家賃は未収金として財産計上が必要になります。裏を返せば、支払期日が来ていないものについては、相続財産ではないということになります。よって、半年分を事前に受け取っている場合、支払期日が未到来の部分については、前受家賃(預り金)として債務控除の対象となります。

【具体例】翌月分を当月末までに支払う場合

【債務控除ができるケース】

支払期日より前に受け取った家賃は前受家賃(預り金)として債務控除が可能

【債務控除ができないケース】

5/10に受け取った家賃10万円は6月分だが、支払期日が到来しており、全額が被相続人の財産となる。よって、債務控除は不可