【税務Q&A】親名義の賃貸不動産収入、子供の収入として申告してもよい?

家賃収入

父が賃貸不動産を所有していますが、高齢で管理が難しくなってきたため、息子の私が不動産の管理をしています。
不動産経営を引き継いだという事で、私の申告として良いでしょうか。

不動産収入は、賃貸不動産の所有者のものであり、管理している息子様の収入にはなりません。
お父様がご自身で申告をするのが難しいようであれば、お父様の収入として代わりに申告をしてあげて下さい。
もし、賃貸経営を息子様が引き継いで収入を息子様に移したい、ということであれば、賃貸不動産を生前贈与して下さい。

解説

高齢のご両親が所有している賃貸不動産の収入を、賃貸経営に携わっているお子様の収入として申告しているケース、結構見かけます。
税務署に相談しに行った結果、そのように指導されたというケースもあるため困ってしまうのですが、このような申告は本来NGです。

不動産から生じる所得は不動産の所有者の収入であって、ご相談のケースではお父様の所得として申告しなくてはなりません。

資産から生ずる収益を享受する者がだれであるかは、その収益の基因となる資産の真実の権利者がだれであるかにより判定すべきであるが、それが明らかでない場合には、その資産の名義者が真実の権利者であるものと推定する。

所得税基本通達12-1

もし、不動産収入を息子様がもらっているなら、それはお父様から息子様への『贈与』となります。

賃貸経営を引き継ぎたい(不動産収入を子供のものにしたい)ということであれば、賃貸不動産そのものを生前贈与することを考えてみてはいかがでしょうか。
なお、賃貸不動産を生前贈与する場合、相続時精算課税制度を利用する方が多いかと思います。この場合、生前贈与した賃貸不動産も財産に含めて相続税申告時を行う必要がありますが、生前贈与した土地については小規模宅地の特例は適用できません。
生前贈与することでデメリットも生じますので、贈与するかどうかの判断にあたっては事前に税理士にご相談下さい。