【税務Q&A】土地と建物の所有者が違う場合、マイホームの売却特例は使えるの?

自宅の売却

この度自宅を売却することとなりましたが、土地は母、建物は長男である私が所有しています。
母と私は同居しているのですが、どちらも3,000万円控除をすることはできますか?

まず建物の所有者(長男)の譲渡所得から3,000万円控除を行い、控除しきれなかった金額がある場合には、土地の所有者(母)の譲渡所得の金額からその残額を控除することができます。

解説

マイホームを売却したときの3,000万円の特別控除は、原則として自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること』が条件となっており、土地だけを所有している方はこの条件を満たしていないため、3,000万円を控除できないこととなっています。

しかし、土地と建物の所有者が違っていたとしても、以下の条件を全て満たしている場合には、土地の所有者も特別控除を受けることができます。

(1) その家屋とともにその敷地の用に供されている土地等の譲渡があったこと。
(2) その家屋の所有者とその土地等の所有者とが親族関係を有し、かつ、生計を一にしていること。
(3) その土地等の所有者は、その家屋の所有者とともにその家屋を居住の用に供していること。

租税特別措置法通達35-4

ただし、注意しなければならないのが、土地の所有者が単独で3,000万円控除を行うことはできない、ということです。
建物の所有者の譲渡所得の金額が3,000万円に満たない場合に、その満たない金額だけ土地の所有者の譲渡所得から差し引くことができることとなっています。

なお、地方では建物単独で所得がでるケースは少ないかと思いますので、この場合には土地の所有者の譲渡所得から3,000万円全額を控除することが可能です。
さらに、家屋の所有者については、譲渡所得がゼロであり、特別控除を受けることができないため、新たに自宅を購入する際に住宅ローンを組んだ場合には、住宅ローン控除を受けることが可能になります。

(参考) 国税庁HP 『家屋と敷地の所有者が異なるとき
         『家屋と土地の所有者が異なる場合で家屋について譲渡益が算出されないときの
          居住用財産の譲渡所得の特別控除と住宅借入金等特別控除の関係